「ラファイエロが見たローマ」

名古屋日伊協会例会に出席。講師は愛知淑徳大学 河辺先生。

ルネサンス3大巨匠ラファイエロに焦点をあてた熱気を感じる講義を拝聴しました。

ラファイエロは様々な方面で才能を発揮しました。その人間像は天才的な絵の技術を持ち合わせつつ人懐っこい性格で、容姿端麗であり、女性によくモテたそうです。人の良いところを自分のものとして柔軟に取り入れ、絵画はもちろんのこと、建築から考古学に至るまで 後世に多大な影響を及ぼしました。

印象的なエピソードは、それまでの初期ルネサンス的古典主義では「美しさは正しさ」であり、美しさは比率などで説明ができるものであったこと。それゆえに格式張った比率や型が重視された時代でした。

そんな中、ラファイエロやミケランジェロが徐々に型を破っていく経緯が面白い。またラオコーンの腕の方向の論争ではラファイエロは真っ直ぐ、ミケランジェロは背中に向かって曲げていると主張した。結果的には人体を知り尽くしたミケランジェロが正しいかったことが証明されました。

そんな成功を収めたラファイエロであったが恋に落ちたのはパン屋の娘のフォルナリーナであったそうです。しかし、有力な枢機卿の娘との婚約を決めることとなったラファイエロの心中に感情移入してしまいました。

また、教皇レオ10世への手紙の中で古代遺跡の危機的状況を訴え、考古学の基礎を築いたことは驚きでした。そんな多彩で人間味のあるラファイエロに改めて触れ、心底好きになってしまいました。

写真はフォルナリーナの肖像。右下にEIの文字「非売品」の意味だそうです。ヌードモデルを目の前にして描いたもの。ルネサンス期では稀有なことであったそうです。